ライアンのお話

ワールドネバーランド エルネア王国 二次創作交流企画 「アルバ王国」のお話です。 沢山のキャラクターさん達をお借りしています。公開が嫌だという方は遠慮なく連絡してください。 いつもありがとうございます。

マトラコロッケ

酒場に戻る頃には、陽は傾き沈みかけていた。


「あら、お買い物?」

ウィアラが忙しなくディナーの準備をしていた。

この国の入国管理をしながら酒場を切り盛りするなんて、余程気遣いが出来て実力のある女性なのだろう。

「うん。キッチン、借りてもいい?」

「仕込みは終わったし混むまで時間あるからね、どうぞ。…って、貴方料理するのね! うちも手伝って貰いたいくらいだわ」

「手が足りない時は手伝いますよ。シチューや服のお礼もしたいし」

「ええ、本当? ありがとう、団体さんの時はお願いしちゃおうかしら」

「喜んで」


「さて…」

塩漬けされたマトラという魚を塩抜きし、身を解した。茹でたポト芋や細切れのチーズを加え、衣を付けて揚げる。

その間に、旧市街の近くで採取した茸を使ってスープを作った。

ポル茸といったか。香りが良く、茸としての味もしっかりしている。

締めはデザート。

リズィに貰ったポム。切り込みを入れ、手作りバターを一欠片。蜂蜜を垂らし、オーブンへ投入した。


もう何年も握っていないナイフだったが、一人分なら意外といけるものだ。

「随分手際が良いのねぇ」

「まぁ、昔は50人分ほど作ってましたからね〜」