ライアンのお話

ワールドネバーランド エルネア王国 二次創作交流企画 「アルバ王国」のお話です。 沢山のキャラクターさん達をお借りしています。公開が嫌だという方は遠慮なく連絡してください。 いつもありがとうございます。

手癖

焼きポムを食べ終え、頬杖をついた。甘さの余韻に浸りながら思考を巡らせる。買い物をして満足したものの、財布は軽くなってしまった。「そろそろ…かな」次の標的は誰か。混雑してきた店内で、ぐいぐいと酒を煽るツバキの姿が目に入った。隣でキキョウがうつ…

ツバキとキキョウ

「ウィアラさんよ〜、バイトでも雇ったらどうだ?」艶のある声が聞こえカウンターを覗くと、銀髪の男性が座っていた。愁いを帯びた切れ長の瞳がこちらを一瞥し、同性なのに思わず色気を感じてしまった。ふと、ドアベルがカラリと音を立て、客の入りを報せた…

マトラコロッケ

酒場に戻る頃には、陽は傾き沈みかけていた。「あら、お買い物?」ウィアラが忙しなくディナーの準備をしていた。この国の入国管理をしながら酒場を切り盛りするなんて、余程気遣いが出来て実力のある女性なのだろう。「うん。キッチン、借りてもいい?」「…

解かれていく

のんびりと歩きながら感じた。此処は小さいながらも活気のある国だった。皆生き生きとした表情で働き、豊かな資源に溢れている。自国は…いや、故郷はどうだったろうか。断崖絶壁と森林に囲まれた中、殺伐とした空気が流れていたように思う。死ぬか否かを常に…

旅人の友達

その日は久しぶりのベッドに包まれ、死んだように眠った。窓から射す光が瞼を通してうっすら見え、はっと目覚めた。時刻は朝2刻。さて、今日は国内の散策でもしようか。階下へ降りて行くと、昨夜とはうって変わって静けさに満ちていた。数名の客が朝食を食べ…

星とポムと

ウィアラによれば、寝場所は酒場の二階で、自由に使えるとのことだった。(まぁ随分と、優しい国だね…)ベンチを見つけ、腰掛ける。夜空を仰ぐと、薄い雲に覆われ星の瞬きが微かに見えた。額に手をあて、前髪をかきあげた。ふと、視界に橙色が映った。視線をや…

アルバ王国

「…ここなら、一旦大丈夫かな」土砂降りの雨の中、ふらついた足取りで入国申請所を探す。(酒場か…)石畳の硬さが、底の薄くなった靴によく伝わった。酒場の灯りが雨でぼやけながらも視界に入った。(ああ、間に合わな——)自分の倒れる音が、聞こえた気がした。…

ライアン・アイスバーグ