ライアンのお話

ワールドネバーランド エルネア王国 二次創作交流企画 「アルバ王国」のお話です。 沢山のキャラクターさん達をお借りしています。公開が嫌だという方は遠慮なく連絡してください。 いつもありがとうございます。

星とポムと

ウィアラによれば、寝場所は酒場の二階で、自由に使えるとのことだった。

(まぁ随分と、優しい国だね…)


ベンチを見つけ、腰掛ける。

夜空を仰ぐと、薄い雲に覆われ星の瞬きが微かに見えた。

額に手をあて、前髪をかきあげた。


ふと、視界に橙色が映った。

視線をやると、白いエプロンを身に纏った若い女性が、籠に赤い実を積んで歩いていた。

彼女も気づいたようで、目線が合った。

「あら、旅の人。こんな夜中にどうされました?」

「ん、ちょっとね、星を見に」

「星?」

彼女はきょとんとしながらも、今しがた自分がしていたように空を見上げた。


「…見えない」

「そうだねぇ」

「見てないじゃない」

「まぁそうなんだよね〜」


黒目がちな可愛らしい顔をした彼女は、くすくすと笑った。

「貴方、面白いですね」



「私、リズィっていうの。よろしくね」

「ありがとう。ライアンだよ、よろしく」

握手を交わすのに、警戒は要らなかった。


「ところで、それ何?」

真っ赤に熟した実は、人の拳大ほどの大きさだった。

「これ知らない? ポムの実。ジュースやワインの原料なの」

「へぇ、ポム…」

「とっても美味しいよ! うちの国の名物なんだから。一つあげる」


お礼を言って受け取ると、リズィは微笑んで手を振った。

「じゃあね旅人さん、私今から仕事なの。行かなくちゃ」


手に持ったポムは、確かに、しっかりと重みがあった。



※リズィ・シャノンちゃん( @alba_himmel )をお借りしました!

ありがとうございます!